採寸したiPod Shuffleのデータを元にケースの図面を書きました。ネジ穴の位置や掘り込み部の詳細を決定するため一応CADを使用して製作しましたが、時間があれば方眼紙を使った図面でも可能です。
注意点は、ケースの中にShuffleを入れますので、入れたときにある程度のオフセット(余裕)必要だということです。機能する部分は、ケース全体とイヤホンジャックの穴部、USBの端子、上面、背面の操作盤部分の箇所です。あまりオフセットを取りすぎるとカッコ悪くなってしまいますのでこちらも注意が必要です。
上記の注意点をふまえ、実際に使用する予定のイヤホンジャックの採寸とUSBの延長コードのAコネクタメス部の採寸を行いました。今回の製作では、Shuffle本体のUSB端子をカバーしているキャップは使用せず、USB端子むき出しの状態でケースでカバーをする方式を取ろうと思っています。ですから、PCとの接続には延長のUSBが必要になります。
次回は2次元図面を元に3D化したモデルをご紹介します。これで大体の形がお分かりになると思います。
今回使った道具。
1.CAD、2.ノギス
以前に干渉を気をつけて図面を書きましょうとお話しましたが、少し気になったので現物を何個か購入してきました。今回の製作部品では写真のようにiPod Shuffle付属のキャップを外して使うように設計しています。ですからケースが覆う予定のUSBの端子も考慮して設計しないといけません。そもそも接続部の規格はあるにしろ端子を取り囲むプレスで製作された外側には規格がないのではという不安が過りました。丁度秋葉に行く用事もあり、購入して測定を行ってきました。
左下の図を参考に
A社 A=14.9,B=7.4
B社 A=14.5,B=7
C社 A=14.9,B=7.3(単位はミリ)
とこんな感じでした。設計は大丈夫だったようです。
作った後にしまったということが無いよう念には念をいれましょう。(自分に)
図面の方は一応書き上がりましたので、加工の準備をしようかと思います。
まずは、材料選びです。材料はアルミの機械加工でスタンダードなA5052にすることにしました。後の表面処理(アルマイト処理)を考えても適当な材料だと思います。試作が成功したらA2017(ジュラルミン)、A7075(超超ジュラルミン)も試したいと思っています。こちらはアルマイトが付きにくいので、仕上がりを少し考えないといけません。
材料の選択は終わりましたので、加工用の材料の大きさを決めます。今回製作するパーツは、ノーマルタイプのトッププレート(表面にくるもの)、ボトムプレート(裏面にくるもの)、ストラップ穴付きのボトムプレートの3種類です。(トッププレートは2タイプ共通)仕上がり予定の大きさは左の表に掲載しました。準備段階の材料は左の表の寸法よりも大きめの寸法にしなくてはなりません。このパーツは外観部品ですので、なるべく削り出したそのままを生かしたいです。その為には加工の際に避けられないチャッングのマークや余計な傷は大敵になります。そこで今回は厚めの材料とやや仕上がり寸法より大きめのサイズで加工を行う事にします。
加工前の準備した材料を次回ご紹介します。
前回に引き続き、加工のプログラム制作。今回は、トップパネルの外側で、左の図は加工している様子です。見にくいかもしれませんが、白のメッシュのものが工具となります。今回の加工内容は
1.ケースの外形取りとその外形の面取り
2.iPod Shuffle操作盤及びLED表示部分の加工。
3.表面の仕上げ。です。
前回、行わなかった外形取りをこの段階で行います。これは以前にお話しましたが、側面への傷防止のためです。材料を機械にセッティングする際、バイスで把握するとアルミのような傷のつきやすい金属はその跡が残って残ってしまいます。アルマイト加工で消える場合もありますが、折角なら綺麗に作りたいものです。そのため、なるべく外形加工は後に残し、加工を行っています。
もう一つのポイントは操作盤やLED部の面取り、及び外周のR加工、表面の仕上げに関するもので、こちらは全てボールエンドミルで仕上げます。通常の機械加工では、R加工や面取り加工はRカッターや面取り工具でこちらの加工は行いますが、ボールエンドミルを使用すると綺麗に仕上がります。ただ時間がかかります。でも世界に一つだけのものですから、僕は敢えて選んでいます。表面加工はボトムパネルと合わせるため、ボールエンドミル仕上げにしました。(Ver.2のボトムパネルに突起があり、通常のフライス仕上げが出来ないためです。)
この加工が終わった後、裏返して余分な厚みをフライスカッターで取り除けば、トップパネルは完成となります。
バイス・・・機械加工などで使用する部品を挟み固定する道具。
ボールエンドミル・・・円形で、先が半球状になった工具。
連休のため、材料屋さんが休みだったので、ちょうど加工機が空きました。そこで、早速ipod Shuffleアルミケースに取りかかりました。まずは、トップパネル、ボトムパネルの裏面の加工を行いました。使用した工具の本数は9本、加工時間は40分程度です。左の写真はそれぞれ加工後の様子です。
検査を行い、早速ipod Shuffleの入り具合を確認、余裕をとったつもりが少しきつめだったので、プログラムを修正しました。ipod Shuffleを入れた様子が次の写真です。使用予定のヘッドフォンのジャックも入れてみました。このケースは付属のイヤフォンでなくても使えるというのがミソでして、感じもなかなか良い具合でした。
最後の写真は、PCと接続する為の延長USBを接続した様子です。こちらも良い感じに収まりました。以前もお話ししたかと思いますが、今回の加工では最終的な深さよりも深く削り出しを行っています。これはパーツに傷をつけないためです。最終的には裏面の上面は1/3程度削り落とします。
次回の加工は表面になります。
前回に引き続き、iPod Shuffleアルミケースの表面の加工です。トップパネル、ボトムパネルともに加工をしました。今回使用した工具は5本、加工時間はトップパネルが60分弱、ボトムパネルが45分でした。
左の写真はそれぞれの加工後の様子です。全周のRはボールエンドミルと呼ばれる半球状の工具で切削加工を行いました。以前もお話したかもしれませんが、通常はこうしたR部分は加工時間の短縮化から、インナーRカッターと呼ばれる工具で加工を行います。ボールエンドミルと加工時間の比較をすると10倍以上は違ってくると思います。でも、Rカッターだとボールエンドミルほど奇麗には仕上げられません。どうせ作るなら奇麗なものの方が良いですから、僕はこちらを選んでいます。同様に表示盤、裏面の操作盤の窓部分の面取りもボールエンドミルで仕上げました。
トップパネル、ボトムパネルと本体が入った様子の写真をそれぞれ掲載しました。次回はそれぞれの表面を削って仕上げます。
またまた、前回に引き続きiPod Shuffleアルミケースの表面の加工です。今回は表面の仕上げ加工です。前回のご紹介した写真の表面はアルミ素地でなにも加工をしていない状態です。こちらは材料入荷時、加工時などについた傷が付いています。表面の肌は外観部ですから奇麗に仕上げる必要があります。通常、弊社では超硬チップを使ったフライスカッターで仕上げるのですが、今回はボールエンドミルを使って仕上げました。フライスカッターは直線的な動きでの切削が出来るのですが、平面の途中で出っ張りのあるものは加工ができません。以前にも紹介した、iPod Shuffleアルミケースのver.2に対応させるためボールエンドミルを使用しました。ボールエンドミルは直線的な運動から曲線的な動きにも対応ができますので、トップパネル、ボトムパネルも同じ質感を保つ事が出来ます。写真はそれぞれ、ボールエンドミルで加工した表面の様子です。
そうそう、ここでのボールエンドミルは長手方向に直線的で細かなピッチ送りで動いています。ですから時間的にも長くかかります。今回の時間は100分程度です。
いよいよ大詰め。次回は加工完成予定です。
前回、表面の加工を終え、最後は裏面の余計な部分を汎用フライスで削り落とし、とうとうiPod Shuffleアルミケースが完成しました。完成したケースの名前ですが、「iPod Shuffle aluminum case for headphone」にしてみました。英文があっているかどうかは・・・・ですが・・(左の写真はヘッドフォンと今回製作した作品の様子です。)
順番にトップの様子、そして次がボトムの様子(トップパネルとボトムパネルはキャップスクリューネジでとめています。)、そしてこのケースの売りのジャック部分とL字型ジャックを入れた様子です。このようにL字ジャックの入りもバッチリです。
今日は、撮影などで少々疲れましたので、他の写真は次回アップします。お楽しみに。
前回の続きです。今度はUSB側の写真です。このUSB部にはUSBの延長コードのAコネクタメスが入ります。恐らく市販のほとんどのタイプは大丈夫だと思います。(次の写真)こんな感じです。次の写真はトップパネルの操作盤および面肌の様子です。イメージとしては高級オーディオの切削ものによくある細かな直線が切削痕として残っている感じです。最後にもう一度ヘッドフォンと、「iPod Shuffle aluminum case for headphone」の様子。ちょっと名前が長いので改名を検討中。なにか名前ありますでしょうか?
仕様
サイズ12.8mm×33mm×88mm
重さ70g(本体、ネジを含む)
使用材アルハイスII(A5052)
表面処理なし。
ご意見ご感想お待ちしております。
もちろんコメントもお待ちしております。
お問い合わせはこちらまで。
E-mail info@al-plus.jp
一応、ノーマルタイプのアルミケースは出来ましたので、次はストラップ付きのアルミケースを作ろうと思っています。以前にもお話しましたが左のようなタイプです。多分Shuffle用のケースではここまでしているものはないでしょう。(というか販売はまず無理でしょう(笑))
少し加工で待つ時間があったので、シュミレーションをしてみました。ケースの裏側はこんな感じ削られます。結構時間が掛かりそうなので、機械が空いた隙に加工してみようと思います。ちなみにトップパネルは前回の製作したものがそのまま使えるようになっています。
そうそうケースの名前なのですが、前回、「iPod Shuffle aluminum case for headphone」とご紹介しましたが「al+52001 HG case for Shuffle」にしようかと思っています。ストラップ付きは「al+52002 HG case for Shuffle」の予定です。
前回に引き続き、完成したHG case for Shuffle(al+52002)の様子をご紹介します。トップパネル(表の面)は、はじめのバージョン(al+52001)と同じものを使用しています。続いてボトムパネル(裏の面)の様子です。突起した部分は6mmの山になっており、この両端に紐が入るための穴がφ3mmで開けられています。USB端子側から見たこの突起部の山を拡大したものが次の写真です。写真では見にくいですが穴のあいた両端の面は若干倒れているように設計しています。次はヘッドフォンジャックから見た拡大写真です。これも前回のバージョンと変わっておらず、L字型のジャックにも対応しています。USB、ヘッドフォンを装着した様子は、前回のバージョンと変わりませんのでそちらをご参考にして下さい。
仕様
サイズ18.8mm×33mm×88mm
重さ約70g(本体、ネジを含む)
使用材アルハイスII(A5052)
表面処理なし。
ご意見ご感想お待ちしております。
もちろんコメントもお待ちしております。
お問い合わせはこちらまで。
E-mail info@al-plus.jp
以前に表面処理上のトラブルで苦い思いをしたので、アルミプラスではアルマイトなどの表面処理のお取り次ぎは行っておりませんでした。先日、割と近所のメッキ屋さんが営業で弊社にお越しになり、色々と話をしました。表面処理も奥が深い分野だなと改めて感じよい勉強になりました。色々と教わったこともあり、また安心して依頼出来そうな会社さんでしたので、先日、製作したiPod Shuffleのケースのアルマイトお願いすることにしました。やはりアルマイトがないと傷だらけになってしまいますので。。。。
この業者さんは他にも金メッキ、プラチナなどもやられているようで、金メッキShuffleケースも面白いかもしれません。
お伝えしました通り、陽極酸化処理(アルマイト処理)が完成し、最終的な完成版が出来ました。今回は白アルマイト処理を行い、感じとしては面の輝きは薄れましたが、落ち着いた感じに仕上がりました。まずはじめの写真は全体の様子です。やや処理前に比べるとつや消しのように写っています。次はUSB部の拡大写真です。こちらをみると側面はエンドミルで削った様子が分かり、一方、表面はボールエンドミルで削った切削目は薄れて素材そのもののロール目(材料成形のときの圧延の目)が強く出ているのが分かります。しかしながら実物をみるとボールエンドの目もよく分かるようになっています。そして次は延長のUSBケーブルを挿した様子です。もう、アルマイト処理をしたので、引きずっても安心です。同形の延長USBケーブルでしたらたいがい大丈夫です。
つぎにイヤフォーンジャック周りの様子です。このケースの売りの一つでもある構造です。L字型ジャックにも対応出来るように二重構造の穴になっています。また、二重穴の一段目底面にはコーナーRが挿入されており、量産品ではなかなかみられないものになっています。次にジャックを挿入した様子です。つづいて裏面の様子。このケースはトッププッレーとボトムプレートの2つで構成されています。その2枚の板を留めるのは4本のM2のキャップスクリューネジです。留めネジも一つのデザインと考え使用しました。
次はケース正面の様子、独立して立ちます。そして表示板の拡大写真、再生時の緑ランプ点灯の様子です。充電時のオレンジのランプも確認出来るようになっています。そして最後にもう一度全体の様子です。
アルマイトをしたお陰で気軽に外に持ち歩くことも出来るようになりました。色々と活用したいと思っています。現在、時期バージョンを考え中です。まとまりましたらこの場でご報告致します。
僕だけの意見ですと信頼性にかけますので、HG case for Shuffle(al+52001,002)をモニターの方に使用して頂きました。ご感想の方をご紹介させて頂きます。
「 最大の特徴は、やはり裏側につり下げようの紐を付けられるようにしたことが最も大きいと思います。それを、後から付けるのでは無く削っていると言うところが決め手と思います。アルミで出来ているのを2〜3見ていますが、このようなものはなく、それだけ手が込んでいるのではと思います。〔只、それを分かってくれる人がいるかどうかは問題があるとは思いますが)
もう一つの特徴は、イヤフォーンのコネクターを差す部分が、大きくて、L型のイヤフォーンが問題なくさせると言うことがあげられるかと思います。Apple純正のイヤフォーンを使わずに他のイヤフォーンを付ける時にL型のものを付けられるということはかなりのアドバンテージと思います。私は基本的にクラシック専門ですので、このiPod Shuffleでもやはりいい音で聴きたい。そのためにはイヤフォーンを本体よりも高いものでも何とか用意するわけです。
そんな人間にとって、自分の好みのイヤフォーンを付けられないのではやはり問題となります。
操作する部分の上の小さい穴もGoodと思います。LED部が見えるので操作が非常に楽でした。」
3月から開始したこの企画「iPod Shuffleのアルミケースを作ろう!!」ですが、この企画をはじめるキッカケになった作品があります。それが「Armor plate for iPod shuffle」です。iPod Shuffleが発売されて間もなく、お客様かから弊社にご依頼を頂き、製作をさせて頂きました。
2枚のプレートと2個のブロック、全部で4つのパーツで構成されております。特記すべき点は表、裏の表示板はすべてRの面取りがされています。このR面取りですが、通常の場合はRカッターなどで短時間に加工を済ませてしまうことが多いのですが、外観品という点と、表面処理はしないということで、生のアルミ切削の状態ですので、出来るだけ奇麗にとボールエンドミルで仕上げました。(ボールエンドミルで仕上げると、長時間の加工を要します。)ですから通常の工業製品では味わえない、切削痕を見ることが出来ます。
もう一点はプレート表面の切削仕上げです。アルミは非常に傷が付きやすい素材であるため、表面仕上げをしない外観品の製作は難しいです。一個一個丁寧に取り扱い周りや表面に傷をつけないように加工をするのは、熟練の職人だからできる技です。
この「Armor plate for iPod shuffle」は発表と同時に、爆発的な人気を誇り、好評でした。多くの方にご使用を頂き、嬉しいご感想も沢山頂いたようです。この作品を通して、僕自身も一つケースを作って見たくなり、「HG case for Shuffle」を製作しました。仕事の合間での製作でしたので、なかなか前に進みませんでしたが、形になり、改めてものづくりの楽しさを自身でも感じることができ、こうしたキッカケを作って頂いた「Armor plate for iPod shuffle」の作者の方にこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
「iPod Shuffleのアルミケースを作ろう!!」のカテゴリーでこれまでご紹介させて頂いていたHG case for Shuffleを、「Mobile guard for Shuffle」と名前を新たにし、ウェブサイトも作ってみました。魅力満載のウェブサイトです。特にフォトシネマは一見の価値ありです。いつもアルミプラスのブログをご覧になっている方に先行公開させて頂きます。
サイトは
http://www.al-plus.jp/mgs/
です。
今後は「Mobile guard for Shuffle」のマイナーチェンジとそれに伴ってモニターの方を募集させて頂こうと思っております。アナウンスはこちらのブログでもさせて頂きますので、しばらくお待ち下さい。
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